最近はこのノンテクニカルスキルの教育に力を入れる業界や企業が増えている。もともとは航空業界から始まり、海運、医療、エネルギーなどほかの業界に広がっていったものだ。
これらの業界はひとたび事故が起これば、多くの人命が失われる。それだけでなく経済的な損失も莫大なものになりえるため、積極的に取り組む傾向にあるのだ。
とくに航空業界には「クルーリソースマネジメント(CRM)」という訓練方法がある。コックピットで得られる利用可能なすべてのリソースを安全な運航のために有効活用しようという考えに基づいたものだ。1970年代にアメリカのNASAがパイロットを対象におこなった調査によると、航空事故の原因は技術的なスキル不足よりも、リーダーシップやコミュニケーション、マネジメントなど、まさにノンテクニカルスキルの不足が大きいことがわかった。またテクノロジーの向上や運航環境の整備などによって航空事故は減少したものの、人命を失う事故が完全になくなることがなかったことなどがCRMの概念が生まれた背景にある。日本の航空業界においても2000年以降は、CRM訓練の定期的な実施が義務化されている。













