住友建機株式会社SUMITOMO

入社3年間のロードマップがあれば
若手社員はイキイキ育つ!

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地場でゼネコンを経営しています。このところ、毎年1~2名の新卒(高卒)を採用できるようになり、社内も活気が出てきた気がします。しかし、若手がなかなか一人前に育たないのが悩みです。ベテランからは「甘やかしすぎだ」と言われます。どうすればいいでしょうか。

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イラスト 佐藤竹右衛門

少子高齢化が進んだ日本では労働力が不足し、若手技術者はなかなか育たない状況になっています。とくに建設業の人材難は深刻で、この状況はまだまだ続くと考えておいたほうがいいでしょう。そんな中でも毎年新卒を採用できているのは、とても素晴らしいことです。

ところが、一人前に育てるのはなかなか難しいようですね。最近は離職率が高くなっており、せっかく入社してもすぐに辞めてしまうケースが少なくないので、思うような指導ができない面もあります。

実際に厚生労働省の「新規学卒者の離職状況」を見ても、2015年に入社した社員が3年以内に辞めた比率は大卒で31.8%、高卒で39.3%となっています。

入社前のイメージと入社後の現実のギャップが大きく、失望して辞めていくケースが多いと考えられます。特に高卒の新人は、学校生活からそのまま会社生活に入るケースが多いので、ギャップを感じがちです。
もちろん、入社前の現場見学やインターンシップで、仕事や社内の雰囲気に触れる機会はあるかもしれません。しかし、限られた時間の中での体験と、実際に入社した後では、感じ方が異なります。現場のピリピリした雰囲気に戸惑うのは当たり前なのです。

では、どんな若手が辞めずにがんばって、成長しているのでしょうか。入社3~5年の若手社員の中で活躍している人にヒアリングをしてみると、次のような共通点がありました。

・友人と話をしている。
・覚えたことを一つずつ実践してみて、自分にもできることを実感している。
・ぼんやりとしたものであっても目標を持っている。
・職場にチームワーク、一体感がある。


こうした環境を整えれば、若手が成長できる職場になるのです。具体的に何をすればいいでしょうか。
一つ目は、気軽に話ができる、相談できる仲間を身近につくることです。年齢差が3~5歳の社員を集めて定期的に勉強会や懇親会を開催してはどうでしょうか。社内だけでは人が集めにくければ、協力会社に声を掛けてみるのもいいでしょう。

二つ目はチームワークを大事にすること。工事現場のリーダーが「君は資材の管理責任者だ」「安全の書類は君に任せた」と、
役割を与えることで、半人前の新人にも自覚が生まれてきます。

三つ目は入社後、3年間のロードマップをつくること。例えば「入社して2カ月で現場用語を200覚える「」4カ月で工事写真を自力で撮れるようになる「」8カ月で測量のここまでができるようになる」と設定し、チャレンジさせてみるのです。見事、目標が達成できたら、焼き肉会食などを開いて祝う。職場の雰囲気が明るく前向きになるはずです。

入社後1~2年をこのような職場で過ごすことができれば、3年以降は自分で目標を立てて、それを乗り越えていけるメンタルができあがっていくはずです。

解説)

中村秀樹(なかむら・ひでき)

ワンダーベル合同会社 建設コンサルティング&教育
名古屋工業大学土木工学科卒業。大手ゼネコンにて高速道路、新幹線の橋梁工事などに従事。
建設マネジメントの実践、建設技術者教育で活躍。