住友建機株式会社SUMITOMO

人を奮い立たせる感動の名言で
自分が、部下が、組織が変わる

新型コロナウイルスによる社会や生活の変化で、世界中の人々が心身ともに疲弊している。
そんなつらいときに奮い立たせてくれるのが、各界の著名人が残した名言だ。
なぜ、彼らの言葉は人を勇気づけてくれるのか。
発言者の発想法とともに解説する。

スポーツ編

桑田 真澄 Masumi Kuwata

自分らしく努力して、
自分らしく生きたら、
それが素晴らしいことじゃないですかね。

テレビ朝日『勇気がもらえる145の言葉』講談社、2010年

他人の目を気にせずに生きる

名言の研究者で、『一瞬であなたが変わる極選名言33』の著者である元良(モトラ)さんは、名言は言葉そのものよりも、発した人の人柄が重要だと語る。ここで挙げた桑田真澄の言葉も、「個性派投手であることを考えれば、いっそう聞く人の心に響く」と言う。
「桑田さんといえばマウンドでボールに向かってボソボソと呟くなど、わが道を行く個性派投手としても知られていました。それでいながら通算173勝を上げられたのは、まさに『自分らしく努力した』からでしょう。発言者がメッセージを実践できていると、聞き手も心から納得できます」
「考えることよりも感じることを大切にすればいいと思います。頭でいろいろ考え始めると、やらないための言い訳ばかりが浮かんでくるので、直感を信じて行動する癖をつける。それが本当の自分らしさにつながります」

もう一つ、自分らしく生きるために、おすすめの方法があるという。
「自分自身に『本当の本当はどうしたい?』と、問いかけることです。もしかしたら桑田さんがボールに話しかけていたのも、ある種の自問自答なのかもしれません。この方法を繰り返していくと、本当にやりたいことを心の声が教えてくれる。生き方に迷いもなくなっていきますよ」

原 晋 Susumu Hara

今すぐ芽が出ない社員についても、次の可能性を
見てあげることが大切です。
陸上でもその大会だけの結果だけを見て、監督が
“もうオマエはダメだ”と突き放してしまったら、
選手も腐るし、組織も腐っていきます。
突き放す前に選手の言葉を聞くことが大切です。

原晋『人を育て 組織を鍛え 成功を呼び込む 勝利への哲学157』ぴあ、2016年

見守ることで、組織が活性化

青山学院大学の駅伝チームは、かつては廃部寸前にまで追い込まれた弱小チームだった。それを箱根駅伝で総合優勝5度のチームに育て上げたのが原晋監督である。
現在に至るまでには想像を絶する苦労があったのだろう。だからこそ、この名言には重みが感じられる。
「原監督の言う通り、団体競技の場合、才能に恵まれた少人数だけに光を当ててしまうと、他の人たちはやる気を失いかねません。チーム全体のムードも悪くなると、成績に響いてしまうでしょう」

これはスポーツだけでなく、会社でも同じことがいえる。部下の能力を決めつけて突き放してしまうと、腐ってしまいかねない。1人の言動が組織風土や、ひいては業績に悪影響をもたらす危険もある。
「この名言は、自信を失っている社員にとって救いになるでしょう。それに、気にかけてくれる上司がいると、『この人のためにも頑張ろう』と、やる気も出てくるはずですよ」

ミュージシャン編

矢沢 永吉 Eikichi Yazawa

怖いんだと素直に認めた。
己の弱さを、
考えるための素材として使ってきたんだ。
オレは現状を自分ではっきりと知りたい。
臆病はネガティブなものだと思われている。
でもどうだろう。
臆病は大事な料理の隠し味なんだとしたら。
勇気ってのも、
臆病な人間だけのものかもしれないよ。

矢沢永吉『アー・ユー・ハッピー?』角川書店、2004年

自分の弱さをさらけ出す強さが共感を誘う

約半世紀にもわたって日本のロックシーンをけん引してきた生ける伝説・矢沢永吉。そんな矢沢だからこそ、元良さんはこの名言に出合ったとき驚いたという。
「ロック界のカリスマである、あの矢沢永吉さんがいきなり『怖いんだと素直に認めた』と告白するのは衝撃です。あれほど貫録ある人でも“怖さ”があったんだと、そのギャップに驚きました。またそれを素直に認める矢沢さんに親近感が湧く名言です」
メッセージを発するときは自分のイメージを守ることより、ダメな一面を見せた方が共感を呼ぶことがわかる。

「矢沢さんは『臆病とは、本当にネガティブなのか?』と疑っています。この意識は本当に素晴らしいですね。そもそも完全無敵な人はいないでしょう。むしろ短所がある方が人間らしくて共感を呼ぶこともあります。例えば、自分の弱さを否定し、『他人に臆病だと思われたくない』からと心を閉ざしている人は、周りの人と協力し合うきっかけを失っているかもしれません。臆病さは人間関係を築くきっかけになると思うんです。そう考えると自分の弱さを受け入れ、周囲に気負いなく頼れるようになりますよね」
不安に押しつぶされそうな部下や後輩にこの名言を教えてあげれば、人の助けを借り人間関係を築きながら、のびのびと仕事に取り組めるようになるかもしれない。

長渕 剛 Tsuyoshi Nagabuchi

ひとりの人間の可能性というか、
未知なるもの、秘めているものを、
あまり過少評価しないほうがいいぞ。

長渕剛『長渕剛・録』ディスカヴァー・トゥエンティ―ワン、2014年

有言実行が説得力を高める

長渕剛も日本を代表するミュージシャンの一人だ。元良さんには印象深いエピソードがあるという。
「長渕さんがまだインディーズの頃、ライブ中のMCで『いつか石野真子を嫁にする!』と宣言していました。その後何年かしてメジャーデビューし、本当に石野真子さんと結婚したんです」
このような有言実行のエピソードが説得力を与える。

「ほとんどの人は憧れに対して『自分には到底無理』と最初から諦めてしまうのではないでしょうか? 長渕さんも、『俺には無理かも』と、少しでも思っていたら実現できなかったと思います。強い欲求が原動力となったのでしょう」
こうした姿勢や言葉は、「どうせ自分なんて……」が口癖の、自分を過小評価しがちな部下に響くだろう。

コメディアン編

明石家 さんま Sanma Akashiya

己を過信しているから落ち込むだけ。
俺とか俺の周り、
みんな過信なんかしていないよ。
「できたはずなのに」とか。
ストレスとかたまる人もみんな過信している

日本テレビ「メレンゲの気持ち」2016年5月28日

過信とは感謝の気持ちが足りていない状態

過信できている状態は、ストレスと無縁のように感じられるが、なぜ明石家さんまは「ストレスを感じる人は過信している」と言ったのだろうか。
「確かに自信を持つことはとても大切です。ただ、自信過剰になってしまうと、視野が狭くなり、自分を客観視できなくなることがあります。さらに、過信とは自分が『こうありたい』と思う像と現実のギャップが激しい状態をあらわしています。そういう人は、自分には『できる』と思っていたことがうまくいかないと、成功すると期待していた分その落差にショックを受けてしまう。自分の能力に対して過度に期待しすぎてしまうと、このようにストレスになってしまうのだと思います。だからさんまさんは『虚栄心を捨てる大切さ』を説いているのです」

そうなるために大事なのが“感謝の心”だという。
「過信とは、感謝を忘れ“当たり前”が積み重なっている状態といえます。すると、その人の言動には傲慢さがにじみ出てしまいがちです。そんなときこそ『ありがたい』『おかげさま』という感謝の心が必要でしょう」

志村 けん Ken Shimura

自分と同じ人間は絶対いないってこと。
よく平凡なサラリーマンなんて言うけど、
絶対に皆どこか違う。
なのに劣等感を感じて生きている人が多すぎるように思う。
自分は自分で、ほかの誰にも変われない。
みんながそうやって自信を持ったら、すごい楽しいよ。
どんな人だって、必ず存在している意味があるんだから。

志村けん『志村けん 160の言葉』青志社、2020年

自己卑下する人を勇気づける

志村けんもまた長年芸能界の第一線で活躍し、お茶の間を沸かせてきたタレントだ。昨年のコロナによる急逝は、世間の人々に大きな衝撃と悲しみを与えた。そんな国民的人気者だからこそ、この名言は心に迫るものがある。
「志村さんが言う通り、みんなが自信を持ったら、豊かな世界が広がると思います」
コロナ禍で世界が闇に覆われたような今だからこそ、自分に自信を持つことが大切だろう。また、“自分の代わりはいない”ということは、人はみなオンリーワンの存在だということを意味する。
「以前、誰かがこんなことをいっていました。『俺はキムタクになれないけれど、キムタクは俺にはなれない』と(笑)。気持ちが明るくなりますよね。まさにSMAPの名曲にある『世界に一つだけの花』の境地です」

俳優編

高倉 健 Ken Takakura

人間にとっていちばん贅沢なのは、
心がふるえるような感動。
お金をいくら持っていても、
感動は、できない人にはできません。
感動のもとは何でもいいんじゃないでしょうか。
美しいとか、旨いと感じるとか……
一週間に一回でいいですから、
心が感じて動けることに出会いたい。
とても贅沢だと思いますが、
感じることをこれからも探し続けたいと思っています。

高倉健『旅の途中で』新潮社、2003年

感動する力は鍛えることができる

元良さんによると、心に届く名言は発言者の性格が大きく関わっているという。
「高倉健さんはとても礼儀正しく、思いやりがあり、謙虚な人柄だったそうです。そんな人柄だからこそ、発する言葉に深みや重みが宿るのです」
さらに、名言は一言目が大切だと、元良さんは力説する。
「心に響く名言は、最初が肝心です。この一言目も健さんの思いが集約されています。普段の会話でも、第一声の表現を工夫すると、より相手に届きやすくなると思いますよ」
人によって感動する物事はさまざまで、年に 1、2度しか感動しない人もいるかもしれない。しかし、高倉健は「一週間に一回でいいから感動したい」と発言し、たくさんの感動を求めていたことがわかる。
「ささいなことでも、捉え方次第で大きな感動になりえます。感動を見つけることを習慣化していくと感度が磨かれ、感動をキャッチする力も育つ。そうなると自分自身がいきいきと輝く瞬間が増えます。健さんは、普段の生活の中で“感動の種”を探す大切さをこの名言で教えてくれているのです」


監修=元良(モトラ)
文=山下久猛
イラスト=佐藤竹右衛門