住友建機株式会社SUMITOMO

苦情が多い道路工事。「見られてる」ことを逆用して、イメージアップを図れ!

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舗装を中心とした道路工事を請け負っていますが、騒音が出てしまうので、通行人や住人から苦情を言われることがあります。
どんな工事なのか、しっかりと説明するようにしているのですが、時には罵声を浴びせられることも……。
何か有効な対策や、工事イメージアップの方法はあるでしょうか。

A

イラスト 佐藤竹右衛門

道路工事は多くの通行人や住人に見られるため、苦情は付きものです。舗装工事では騒音やアスファルトのにおいが目の敵にされ、「いつまでダラダラ工事してるんだよ。税金の無駄遣いだろう」などと、心ない言葉を浴びせられて、やる気を失ってしまうという声も聞きます。

そこで、「見られていること」を逆用して積極的にイメージアップを図りましょう。聞かれたら答えるのではなく、こちらからアピールするのです。

舗装工事が重要であることは事業者にとって当たり前ですが、住人はその意義を知らないかもしれません。
例えば、排水性舗装に更新する工事ならば、雨が降っても水たまりなどできなくなるため、自動車による水はねはなくなります。そのことを、立て看板や作業ベストの背中などにわかりやすく表記するだけでも違います。
イラストなどを使うとさらに丁寧です。

近年の工事説明看板には挨拶文や工事の目的、期間、内容、連絡先などを記載することになっています。それに加えて仮囲いなどに、イラストをまじえて工事内容と意義を表示すると、より理解が得られます。

事業者の中には、水道管の交換工事の際、掘り出した古い水道管の一部をあえて路上に置いて、「劣化して傷んだ水道管を耐震化水道管に交換しています」と説明するケースもあります。
機械の使用で騒音が発生する時は、防音シートを張り、その表面に「騒音軽減のため防音シートを使用しています」と説明書きを入れるといいでしょう。何事も「わかってくれるはず」ではなく、こちらからどんどんアピールすることです。
重機を使うときは、通行人が威圧感を感じないように、重機に動物や恐竜のイラストを貼るといった手もあります。
通行人から交通誘導員が罵声を浴びることもありますが、決して反論せず、工事内容とその意義を簡潔に説明して「ご声援ありがとうございます」と、嫌な顔を見せないのがプロです。

つまり、工事の目的を理解してもらうと同時に、マナーと気配りで好印象を与えることが重要です。そのために、工事の前に周囲の住宅に挨拶に行ったり、その道路を使う住民に工事の概要を記した書面を配ったりすることも必要でしょう。
あるユニークなアイデアで、住人と通行人を喜ばせた事業者がいます。犬を連れて散歩している人たちに犬の写真を撮らせてもらい、仮囲いに「ワンワン100選」として写真を貼り出したのです。飼い主はうれしいし、通行人も楽しいですね。
時には商店街の前で工事をすることもあるので、営業の妨げにならないように気を遣うことが大切です。鮮魚店の前なら、仮囲いに魚のイラストと店名を貼って「営業中です」と掲示してはどうでしょうか。店主の気持ちも和らぐはずです。

事業者が面倒がらずに、いろいろなアイデアを出すことです。住人に喜ばれれば、元請からの評価も上がり、今後の仕事でも有利になるはずです。

解説

中村秀樹(なかむら・ひでき)

ワンダーベル合同会社 建設コンサルティング&教育
名古屋工業大学土木工学科卒業。大手ゼネコンにて高速道路、新幹線の橋梁工事などに従事。
建設マネジメントの実践、建設技術者教育で活躍。