1 土木工事で最も死亡災害が多いのは重機の稼働時ではなく移動時。
●重機は、掘削、整地等、何か作業をしている時よりも、現場内の単なる移動、段取り替え等、直接作業をしていない時の死亡災害が多い。
●バックホウは旋回している時よりバックした時の方が危険。
●リスクが低いと思われている作業の中にもリスクが高いものが潜んでいる。
2 バックホウは旋回、後退時だけでなく、前進時にもリスクがある。
●後方、側方に死角が多いのはもちろん、前進時であっても、オペレータはキャタピラの接地面を直接見ることができないなど、安全確認が十分にできない。
●この程度なら大丈夫という危険軽視が事故につながる。
●複数の重機を近接して行う作業、狭隘部での作業は危険と隣り合わせ。
3 重機の作業半径内をバリケードなどで囲うだけではリスクは十分に下がらない。
●立入禁止区域をバリケードなどで囲うのは危険源を明示しているだけ。
●人間は危険軽視の気持ちや、近道・省略行動本能などにより、「ちょっとの間なら大丈夫」と、重機の作業半径内でも平気に立ち入ってしまう。
●バリケードに加え、監視員を配置し「何人たりともそこに立ち入らせない」と目を光らせる措置を講じてこそ立入禁止措置になる。
4 人間の注意力には限界がある。このことを肝に銘じる。
●労働災害に大きくかかわっているヒューマンエラー。
●人間の注意力には限界がある。作業に集中すればするほど安全には注意が向かなくなる。
●人力で締め固め作業をしている人にはローラーの警報音は耳に入らない。
5 安全装置が付いていてもそれを機能させなければ意味がない。
●クレーン機能付きバックホウでの荷上げ作業。作業効率を優先させ旋回速度を落とさないようクレーンモードに切り替えずに荷揚げ作業を行う違反行為がある。
●ここにも、オペレータが「これくらいなら大丈夫」と危険を軽視し、つい不安全行動をする場面が見受けられる。
●進化する機械の機能を完全に生かすことが本質的な安全対策。
6 「工期一番、安全二番」では誰も二番の安全のことを考えなくなる。
●工期を厳守しようとすると、安全は二の次になってしまう。
●「安全と施工は一体である」という信念を現場リーダーが持つことが大切。そうすることにより、作業員が「現場リーダーに従おう」という気持ちが芽生え、基本ルールを守ろうとする行動につながる。