このような世代間ギャップワードを、それとは気づかずに使うことで生じるデメリットは多いと中受氏は指摘する。その一つが採用活動だ。パワハラ・セクハラと受け取られてしまう発言も当然NG。
「面接を受けに来た学生などに対して、面接官が世代間ギャップワードを使って話しかけていると企業のイメージが古臭く見えてしまうなど、悪い印象を与えてしまう可能性があります」
最悪は入社辞退ということにもなってしまう。
またマーケティング活動においても影響があるという。「若い世代がターゲットの場合、SNSなど日々の情報発信の場で世代間ギャップワードを使うと、企業側のメッセージが適切に届かない恐れがあります」
マーケティング費用をかけたのに、伝えたい企業メッセージが誤解されたり、共感を得られないとなると、それも損失と言える。
加えて、社内で訓示などをする際も気を付けたほうがよさそうだ。「若手社員の共感が得られず、社員のエンゲージメントが低下してしまうリスクがある」と中受氏は話す。例えば最優先課題や重要事項を「一丁目一番地(※3)」と表現することがあるが、これも若者には通じない言葉の一つだ。
「社長が社員向けの訓示の中で『この事業はわが社の一丁目一番地だ』と言ったときに、事業所の所在地のことだと思われてしまったという、笑うに笑えない話もあります」
コミュニケーションの中で世代間ギャップワードを多用していると、若手社員との間に“みぞ”が生まれてしまう。訓示や連絡事項などの大切な話も、それが正しく伝わらなければ意味のないものになってしまう。
(※3)一丁目一番地:最優先課題や重要事項のこと。住所の一丁目一番地が一等地であることに由来。