住友建機株式会社SUMITOMO

住友建機のICT施工

施工能力が最大3倍!
利益率向上の好循環!

代表取締役 加賀一明氏

東和道路株式会社

(千葉県)

i-Constructionという言葉が広く認知される以前から、新しい技術を積極的に導入してきたのが、千葉県千葉市に本社を置く東和道路だ。ICT建機活用に悩む企業が多い中、社員が率先して情報化施工を行っているという同社。その成功の秘訣に迫る。

一度知ったら手放せない。
ICT建機の圧倒的な良さ

加賀一明社長(左)と、息子の寛憲氏(右)。7年前に運送業から転職し、建設業界に足を踏み入れた寛憲氏は、通常の建機もまったく未経験の状態からICT施工を学び、すぐに使いこなせるようになったという。

千葉県を中心に土木・舗装工事業を展開する東和道路は、建設業界の人手不足や高齢化に危機感を抱き、i-Constructionが始まる前年の2015年から、ICT施工を開始している。

「建設機械の操作は、経験や勘に頼る部分がとても大きく、上手く扱えるようになるには、多くの現場をこなさなくてはなりません。ところが、最近は場数を踏む機会が足りない。厳しく管理された工期や予算の中で結果を出す必要があるため、積極的に若手に任せて、経験を積ませることもままならないのです」

こう語るのは、代表取締役の加賀一明氏だ。人材確保が難しいことに加え、採用できても育成できないという。

京葉道路や東金有料道路、東名、東名阪、環状7号線、成田国際空港、千歳空港、野球場など、79年の設立以来、輝かしい実績を重ねてきた東和道路だが、人手不足の厳しさはヒシヒシと感じている。この状況を打開するための手段として、ICT施工での取り組みをスタートした。

「まずはモーターグレーダーから始めて、すぐにブルドーザーも導入。その後もバックホウ、アスファルトフィニッシャーなども取り入れています」

ICT建機導入にあたって壁になるのが、データ作成やローカライゼーション、操作方法などのスキル習得だ。その点、専任担当者を置いたり、ICT担当部署を立ち上げたりしたのかというと、「何もしていない」と加賀社長は、あっさり答えた。

「新しいことを始めるときに、拒否反応が出るのは普通のこと。最初、使い物にならないのは当たり前です。そこで、無理やりやらせるようなことはしません。社員の気持ちが大切で、下手に強制すれば逆効果になる可能性が高い。でも、機械を持っていれば、興味を示す人が一人二人は出てくるもの。その人の仕事ぶりを見ているうちに、周りにも少しずつ広がっていって、3年も経てば、ICT建機がないと困るようになってきました。精度を出しやすく、何より作業が楽なことを知ってしまうと、使わない手はないと意識が変わっていったのでしょう」

7年前に入社した息子の寛憲氏は、入ってすぐに3DMCのブルドーザーの取り扱いを学び始め、今ではフル活用している。

「それまでパソコンすらほとんど使ったことがありませんでした。でも、ICT施工をやってみると、それほど難しいことではなかったんです。もし、わからないことがあれば、メーカーやソフトウェア会社に質問すれば、丁寧に教えてくれます。今では、使えない現場だと不便で仕方ありません(笑)」

東和道路は、元来、新しい技術に積極的に取り組む会社だ。水はけがよいアスファルトを敷いた「排水性舗装」を千葉市で最初に施工。アスファルトをバーナーで加熱してバックホウで掘削するのが当たり前だった時代に、日本に数台しかなかった海外製路面切削機を導入して、急速施工を実現した実績も持つ。このような先進技術を取り入れようという風土が、ICT施工導入においてプラスに働いたのは間違いないだろう。

また、成果が出るまでには相応の時間がかかるとじっくり構えて、社員の自主性を重んじたことも、好判断だったといえる。

短時間で高い精度を実現!
目指すは工事の完全自動化

加賀社長は、ICT施工に取り組んだ結果、さまざまなメリットを実感しているという。

「丁張りがいらないので、必要人員を減らすことができます。6人いないと回らなかった現場が、3人で回せるようになったり、工期1カ月の作業が半月で終わったりしたことも。技術力の高いオペレーターがICT建機を使えば、施工能力が最大3倍くらい向上するでしょう」

人員削減や工期短縮をしても、精度を落とさず、しっかりと利益を確保できるようになったことも大きな成果だった。

東和道路はトータルステーション(TS)やGPSを用いた3DMCを導入している。これはICT建機(モーターグレーダーやブルドーザーなど)に入力した3次元設計データと、TSやGPSによって取得される建機の3次元位置情報、各種センサによる建機の姿勢情報から動作を自動制御し、3次元設計データどおりに施工できるというもの。そのため、施工面全体の仕上がり精度を向上させることが可能だ。今までの施工では、丁張り位置のみにおける高さ管理であり、それ以外についてはオペレーターの力量に頼らざるを得ない。そこが大きく違う。

「精度を保ったまま、従来と比べて少ない回数で仕上げることができるので、材料さえあれば、かなりの工期短縮が可能です。1万㎡を超える現場では業務改善の効果が大きいため、基本的にICT施工で行うようにしています」(寛憲氏)

東和道路が目指すのは、工事の完全自動化だ。ICT施工は、その一環であり、これからも新技術やICT建機の導入を続けていくという。その一つとして、3DMCのアスファルトフィニッシャーHA90C-2を導入。さらなる生産性向上と、利益率アップが期待されている。