住友建機株式会社SUMITOMO

住友建機のICT施工

ICT施工情報誌「ICT Magazine」

「高い!」「面倒!」「難しい!」.....
3つの不安徹底解消!

「コストが高い」「3D設計データ作成が面倒」「操作が難しそう」といった懸念から、ICT建機導入を迷っている方もいるだろう。

事実、ICT建機の導入コストは通常の1.5~2倍ほど必要であり、使いこなすにはそれなりの専門知識も欠かせない。資金的余裕が少なく人手不足に苦しんでいる建設会社や工事会社が、導入に二の足を踏むのは仕方ないことだろう。

他方、導入後の感想を聞き込むと、多くのユーザーが「工期を大幅カットでき、コストパフォーマンスがよい」「自社保有でノウハウを蓄積すれば付加価値となり、取引が有利に進む」などと実感していることがわかった。

「難しそうだし、面倒くさい」からと、ICT化を後回しにするのはもったいない。メリットを正しく理解すれば、“不安"は“期待"へ変わるはずだ。

―「高い」……それって本当?―

工期削減で受注数アップを可能に

ICT導入にあたっては、初期費用やランニングコストを“コスト"ではなく、“投資"と考えることが重要だ。投資であれば、回収が見込めれば採算が取れるからである。その点、回収の見込みが高いチャレンジだといえるだろう。

理由の一つに、作業時間の縮減効果が証明されていることが挙げられる。国土交通省の資料によれば、起工測量、3D設計、施工、出来形管理、検査、納品までの延べ作業時間をみたとき、従来施工に対してICT土工と舗装工で約3割、ICT浚渫工(河川)では約2割、ICT浚渫工(港湾)でも縮減できたとある(2019年度)。
住友建機のICT建機を導入している企業の中には「150日の施工期間に対して20日間短縮できた」「5カ月の工期を4カ月に短縮できたうえ燃費も30%向上した」ところもある。

工期を短縮できれば、その分受注できる工事数を増やすことができるし、人員を減らすことで人件費の削減も見込める。また、ICT活用工事は増加傾向にあるだけでなく、工種も拡大しているため、ICT建機を保有していることで優位になる場面は確実に増えていくはずだ。
その効果を示す事例として、香川県にある山根建設株式会社が挙げられる。工期短縮と安全性アップにより、人手不足のなか売上ほぼ2倍という快挙を遂げた。
 

間接工事費用のカットにつながる

施工期間の短縮は、仮設事務所(コンテナハウス)の設置費用やガードマンの日当など、「共通仮設費」「現場管理費」「一般管理費」といった間接工事費の削減につながる。
しかも、ICT活用工事では、直接工事費にインセンティブがつくため、通常施工よりも直接工事費が高くなる。
直接工事費が割り増しで、間接工事費を削減しやすいICT施工は、利益を出しやすくなるわけだ。
また、経費率についても、ICT施工では共通仮設費に1.2、現場管理費に1.1の補正係数が設定されるなど優遇措置がとられている。

また、ICT建機の稼働率について「使用割合一律25%」をやめて「ICT建機の稼働率を用いた施工数量」を用いることになった。

つまり、従来はICT建機だけで作業している現場であっても、ICT歩掛は「(ICT建機25%+通常建機75%)×施工土量」で算出しなければならなかったが、変更によって「ICT建機100%×施工土量」で算出できるようになったのだ。

こういった変更を踏まえ、2019年度施工パッケージ(油圧ショベル掘削工事)における新旧単価を試算したところ、2018年1月31日以前の従来施工に比べ、ICT施工は1㎥あたりの単価が2.5倍に。つまり、ICT建機導入に必要なコストは、長期的に考えれば、回収できる負担だといえるだろう。

―「面倒」……それって本当?―

外注と内製化の使い分けが鍵

ICT建機を検討していると、「ドローン」「3D」「座標データ」といったワードが飛び交う。先端技術に苦手意識があると、拒否反応が起きるかもしれない。確かに、従来建機とは作業工程が異なるが、そのぶん施工は格段にラクになる。3DMC施工で見ていこう。

まず、ドローンやレーザースキャナーで施工現場を撮影し、「3D測量データ」を用意する。このデータを専用ソフトで処理すると、現状の地形と設計図面の“差"から「施工量(切り土・盛り土量)」が算出される。これが「3D設計データ」だ。

あわせて、人工衛星などを使った位置情報と、現場の工事基準点を突き合わせて補正した「座標データ」を用意する。この3つのデータをICT建機に取り込む。ここまでくれば工事はほとんど終わったようなもの。

すでに建機はデータに沿って半自動で稼働できる状態になっている。丁張の必要がなくなり工期を短縮できるとともに、手元作業や丁張設置のスタッフが不要になるため、人件費削減や人と機械が接触するリスク減少につながる。

確かに、3D関連作業には専門知識やスキルが必要になるため、誰でも簡単にできるとはいいがたい。しかし対処法があるため、必要以上に尻込みすることもないだろう。
例えば、3D測量やデータの作成、3D測量を活用した検査については、測量会社や設計事務所、コンサルティング会社、レンタル会社などが増え、依頼に応える体制が整ってきている。
また建機へのインポートデータ作成は搭載機器メーカーの専用ソフトウェアを使うため、メーカーが勉強会を開催したり、派遣インストラクターが担当者の育成支援をしてくれるところもある。

京都府の株式会社辻村は、測量からすべて自社で賄うのは難しいと判断した。そこで元請け会社に「測量、図面データ化、建機へのインプット」の協力を得ることに。このように自社に合う方法でICT施工を始めることができるのだ。

自社で3Dデータ作成ができるようになると?

他方で、3Dデータ作成を内製化している会社の意見を聞くと、「ノウハウを構築できた」「外注コストが減り利益率がアップした」というメリットが伺える。
また、ドローンなどの操作を覚えれば、「上空からの写真撮影による進捗状況の把握」「施工途中の土木量管理」といった応用も可能だ。3D技術をフル活用している大山土木株式会社(岐阜県)の代表取締役社長・野中豊氏は、「地上から見えにくい場所を撮影でき、3Dデータで処理すると土木量の変化がわかるんです」と話す。

不慣れなうちは外注しながら、外部の講習会に参加して社員のスキル向上に励み、自社で対応できる体制を整えてから内製化するという方法もある。
住友建機では愛知県と大阪府にICT研修センターを開設している。要望にあわせて講習を実施しているので、担当営業に相談してほしい。

―「操作が難しい」……それって本当?―

意識しなくても目的の作業をこなせる

データ作成の問題をクリアしても「操作も複雑なのでは」「オペレーターが使いこなせるか」という不安が残る方も多いのでは。
実は操作方法は簡単で、マシンコントロールならばアームを操作すると、ブームやバケットが自動で動く。掘削しているのか、整地しているのかは、バケット角度により建機が自動で判断する。

12名の社員を抱える有限会社加辺土建の代表取締役・安齋淳一氏は、自身で使ってみた感触をこう振り返る。
「ブルドーザーで敷きならすとき、慣れない人がやるとなかなか平らにはできません。しかし、実際に不慣れな私が試してみると、かなりうまくできました。ICT建機の効果は思った通りでしたね。これなら経験の浅い若手でも十分に使いこなせると実感しました」

以前は同時期に複数の現場が重なると、熟練オペの配置に苦労したが、ICT導入で若手でも精度の高い施工が可能になり、人の配置がしやすくなった。
年配者の感想はどうだろうか。池田建設工業株式会社(石川県)のベテランオペレーター田上勝好氏(取材当時63歳)は「初めは少し苦労しましたが、慣れれば使いやすかったです」と話す。
経験の浅い方が使えばきれいに仕上がり、熟練の方が使えばさらに生産性が上がる。人材不足や高齢化の問題も解消できるわけだ。

通常機のノウハウを詰め込んだ使い心地

住友建機の油圧ショベルは、使いやすさにも定評がある。住友建機製を使用しているユーザーからは「スムーズな動作」を評価いただいている。
高度な油圧制御技術をICT機にも応用し、刃先がなめらかに動く。また、マニュアル操作と自動制御を、レバーに後付けできるパドルスイッチに切り替えられ好評である。緊急時や危険時、とっさに手動に戻すことができ安全性が高い。

大山土木株式会社のICT施工導入・現場リーダーである上島尚人課長は、「レバーのボタンひとつでマシンコントロールと手動に切り替えられるので、何か問題が生じたときにすぐ手動に戻して操作し、安全を確保できます。他社製は画面で操作する必要があるので緊急時は扱いにくいのです。また、レバーの操作性もいいですね」と、話す。

さらに標準装備されている「FVM2」も安全性を高めることに貢献している。建機の死角となる建機後方と左右をモニター画面に表示し、人が近づくとブザー音で知らせてくれる装置だ。
オプション設定可能な「FVM2+」は危険を察知すると走行と旋回を自動で減速、もしくは停止させてくれる。

興味がわいたら、気軽に担当営業やお近くの営業所へお問い合わせを。試乗したらその良さを体感できるはずだ。