住友建機株式会社SUMITOMO

有限会社斎一林業(福島県)

合理的な独自スタイルで
生産効率を上げる

効率的に機械を使い生産性を上げる環境とシステムを構築

 有限会社斎一林業が所在する福島市は、福島県の北部に位置し、西は吾妻連峰、東は阿武隈高地に囲まれた盆地に広がり、福島県の県庁所在地で古くから福島県の経済の中心地として発展してきた。市の総面積は76,722ha、森林面積は61%の50,740ha(うち国有林30,545ha、民有林20,195ha)であるが、現在は原発事故の影響により、福島県内では森林整備や林業生産活動が停滞しており、森林整備と放射性物質対策を一体的に実施し、森林の有する多面的機能を維持しながら放射性物質の低減及び飛散防止を図るため、「ふくしま森林再生事業」が行われている。

 今回、地元福島で林業一筋に50年歩んでこられ、有限会社斎一林業の創業者であり現在も現場の第一線で活躍されている齋藤一良 代表取締役にお話を伺うことができた。

「高校を卒業してこの仕事に就いたのは、当時の林業は自分で頑張れば頑ばっただけの高収入が得られる職業で、そこに魅力を感じたからです。また、初めから自分で会社を立ち上げることを目標にしていました。

 設立当初はチェーンソー数台で、福島県内や宮城県の県南地域での伐出請負が中心の事業展開でした。林業機械の導入は他社と比べてかなり早かったと思います。高性能機械が欲しくて35~6年前にグラップルを導入したのが最初です。思いつきで導入したわけではありませんが、当初は機械を100%稼働させることができず、機械を効率よく使い、生産性を向上させる独自の環境とシステムを構築していく必要性に気付き、実現に努力しました。トラックを買い、機械を導入し、人員を増やし、と徐々に会社を整備した結果、事業も順調に拡大し、請負中心の事業から自社での立木購入・素材販売へと移行し、現在は国有林、公有林を中心に事業展開しています。」

 

複数台の機械導入と稼働時間の計測で作業効率をアップ

 「弊社は設立当初から、造林の事業部門は持たず、素材生産に特化した事業展開をしており機械設備もそれに沿っています。社員数は13名、そのうち現場は11名、作業班としては2班構成で常時5現場を同時に施業して、昨年度の年間素材生産量は約30,000㎥です。所有する高性能林業機械は、フェラーバンチャー5台、プロセッサー5台、グラップルソー3台、グラップル3台、フォワーダ7台の計23台です。住友建機の機械は合計9台所有しています。社員数に比して機械の台数が多いですが、複数現場を効率よくこなすための手段です。また、弊社では4000時間以内を目処に早めに機械の入れ替えを行っています。機械はある一定期間を過ぎると頻繁に故障することから、修理による現場休止を最小限にするためです。今年度導入した住友建機製の新型機種はエンジンの燃費が良く、走行スピードも速く、オイルの流量も上がり従来機とは比較にならないくらい動きがスムーズで、作業効率が大幅に向上していると実感しています。性能の向上した新しい機械を入れることが効率アップに繋がると考えています。」

 今後について聞いてみたところ、「弊社の今後の課題は技術の継承です。」と齋藤徳営総務課長が仰ります。
 「最前線で社長と専務が機械を操縦して作業班を率いているのが現状で、その経験や技術をまだ受け継げていないことです。今後は、社長や専務が現役の間に、社内研修として技術継承の時間を設け、徐々に世代交代をしていきたいと考えております。また、将来的には利益の追求ばかりでなく、林業を通じて社会貢献できればと考えております。」

レポート
北海道東北統括部 郡山支店
高橋 靖雄