
米嶋銘木株式会社が所在する京北地区は、ノーベル賞作家である川端康成の小説「古都」の舞台としてよく知られている北山杉の生産地です。周囲には急峻な山が連なり農業に適した平地も少なく、市街地に近いため地区の人々は平安期より高名な寺院をはじめ京の町に木材を供給することを生業としてきた。
先人たちは京町屋で垂木材として使われてきた丸太を効率的に生産し、付加価値の高い良質の素材へと変える努力を惜しまず、その努力は安土桃山期に報われることになる。北山杉から作られる北山磨丸太を絶対的な存在にしたのは千利休である。千利休以降「茶の湯文化」をたしなむ人々が北山磨丸太を茶室や数寄屋における建築材として頻繁に用いたからである。その後、何百年もの年月、和風建築の変遷にあわせ、真摯に愚直に改良を重ねた成果として現在の北山磨丸太は存在している。
北山磨丸太に関しては、その生育や生産の独自性から古くから大学などの研究者の対象となり著された文献も多いので詳細はそちらに委ねるとして、その特徴や生育のご苦労を古くからの山林家であり、北山磨丸太の生産者である米嶋銘木株式会社の米嶋昌史代表取締役にお話を伺った。