住友建機株式会社SUMITOMO

千歳林業株式会社(北海道)

高性能林業機で
開いた林業の未来

高性能林業機械を導入し、作業効率向上

 千歳林業株式会社は、昭和63年(1988年)に角田義弘現相談役により、倶知安町において創業された。倶知安町は、札幌の西100Kmに位置し、近年は隣接するニセコ町とともに海外からのスキー目的の観光客が多く訪れるリゾートエリアとして注目され、外国資本によるコンドミニアムやホテルの建設ラッシュの影響で、地価上昇率が全国1位になったニュースは記憶に新しい。

 創業から2年後の平成2年(1990年)に蘭越町森林組合に勤務していた栃木幸広現代表取締役が、元々組合の上司であった角田相談役の人柄や経営手腕にあこがれて入社した。入社当時の千歳林業株式会社のことを栃木社長は「入社した時は、社員も10名ほどで、まだ高性能林業機械もなく、広葉樹中心で年間素材生産量も10,000㎥程度だったと思います。」

 その後社業は、白老出張所を開設して、人員も増え、仕事のエリアを広げ、順調に発展してきましたが、「平成13年(2001年)に初めて導入した1台の高性能林業機械が一番大きな転機になりました。」と語られる。

「カラマツは造材の作業手間がかかるのに原木価格が安く、魅力の少ない樹種でしたが、高性能林業機械を導入してからは伐倒から枝払い、玉切りまでできるので作業効率もあがり、利益の出る樹種に変わりました。1台の導入と従業員の増加により平成14年度の素材生産量は前年の約3倍30,000㎥まで増えました。その後は機械化を進め、現在所有する高性能林業機械は67台、社員も77名、素材生産量は、令和2年度(2020年)はコロナの影響もあり68,000㎥まで落ち込みましたが、その前年の令和元年度(2019年)には95,000㎥ほどありました。」

事業を多角化するなど、就労環境に配慮

 創業以来30余年、飛躍的な発展を遂げられている同社だが、色々とご苦労されたことや仕事において心がけて来られたことなどをお聞きした。

「北海道の冬は雪が多く、作業に適さない期間が長いので作業員を通年雇用することが難しい問題でした。ここ10年ほど前にようやく全員を正社員として雇用することが可能になりました。社有林を増やし冬の仕事として、つる切りやシイタケの原木作り、薪の生産などもしています。

 また、普段から留意していることは、生産性や安全性の向上などですが、現場内の連携をとる手段として、トラックの運転手やオペレーター、チェーンソーマンなど全員に無線機を持たせています。そして、ほぼ一人1台、会社の車を渡すことによって移動の手段としてだけでなく現場でのプライベートな休憩施設として使うよう指示して就労環境の向上を図っています。」

 千歳林業株式会社には、住友建機の林業機械を19台導入いただいていますが、その選定のポイントをお伺いした。

「とりあえず1台導入したら、オペレーターが操作性も良いし、燃費も良い、足の速さもある、駆動力もある、と高い評価をしました。購入後のアフターケアもよくやってくれている。信頼のおける会社だと考え、その後も導入しています。私は林業事業体にとって高性能林業機は生産性と安全性を守る生命線だと思っています。」

 今後の展望という質問に「お得意様からの必要量や納期など、あらゆるニーズに極力応えて来たことで、信頼を得ているという自負があります。今後の展望として、最終的には林業が補助金をもらわなくてもやっていける業種にならなくてはならないと思っています。現在弊社は19,000haの社有林を保有しており、そこには川下側の注文に応えられる多種多様な森林資源があります。これからは、顧客からのオーダーに対して、最適な樹種を素早く選定して製品化するシステムを構築することが必要だと思っています。森林資源や材積管理のデジタル化などで、無駄を減らしコストを下げることが、1本の木の価値を高めることにつながると考えています。」

レポート:札幌支店 上野 雅紀