
大町市は長野県北西部にあり、西に険峻な北アルプスを望み、黒部立山アルペンルートの長野県側の入口として、また黒部ダム建設の基地として名高い町である。その町で江戸時代から続く荒山林業で、働きながら山仕事を学んでいた都会出身の3人が、平成12年に独立して山仕事創造舎を創業した。その後、4人目のメンバーが加わり、組合員が平等に責任を持つ組織にと企業組合を設立し平成14年に法人登記した。現在出資した組合員19名、未加入者を含めると28名の組織になっている。
山仕事創造舎の香山由人代表理事にお話を伺った。
「企業組合とは個人の林業技術者の出資による共同経営法人です。組合員の過半数が実際に事業活動に従事していることが必要で、出資金額に関わらず、一人一票の議決権を持つなど人的つながりを重視した性格を強く持っています。一般の会社のような一体型の事業経営をする場合や、個人事業の集合体として分散型の経営をする場合など、フレキシブルに様々な形態での事業展開が可能です。実際の事業運営では出資金額などによる上下関係は無く、すべて話し合いによって共同で仕事を進めています。組合員全員が営業力を持ち、自分の住む地域で山仕事を見つけだして作業することが基本です。
現場も従業員が車で一時間程度を通勤範囲としていて特に決まったテリトリーはありません。作業システムとして、現場を設計監理できる人間が10名ほどいます。それぞれがその現場に人と機械の手配をして作業する形態をとっています。機械類もチェーンソーなどの手道具類は個人所有として、個人で持てない高性能林業機械などは組合で購入し、組合管理で使用しています。