住友建機株式会社SUMITOMO

トライ・ウッド(大分県)

後世に残そう
かけがえのない森林(みどり)を

産地直送直接販売を強みに「津江杉」のブランド価値を高める

 株式会社トライ・ウッドの所在地である大分県日田市上津江町は、日本五大美林のひとつといわれる古くからの林業地である。長い林業の歴史を刻むこの町でも昨今の日本の林業界が抱える問題、安い外国製品の影響による業績の悪化、3K仕事を嫌う若者の他業種への人材流出など様々な問題に直面していた。
 上津江町の面積8,853haのうち森林面積は8,081ha(91.3%)森林面積のうち7,475ha(92.5%)が保安林面積であり、まさに山と森林に囲まれたこの町で、平成2年、先人たちが守り育ててきた大切な森林資源を未来に繋げるため、林業後継者の育成と津江地域の林業発展を目的とし、森林管理、素材生産、木材加工、販売と一貫した流通経路を持つ総合林業会社、株式会社トライ・ウッドは設立された。
 今回、ご多忙な折り、古川参事からお話を伺うことができた。
「弊社は、正社員64名、作業員15名。昨年度の年間素材生産量 約14,500㎥ 山に囲まれた小さな町の小さな会社です。ですから外国から輸入される大量生産された製品と値段で競っても得るものはありません。
 そのかわり、複雑な流通経路とは異なる産地直送直接販売を主体としているので、大切に育てた木を大切に扱い加工することで、製品の差別化を計ることを考えました。
 お客様に満足していただくために、例えば弊社では木材の乾燥を一般的な機械での強制乾燥ではなく、木を井桁状に何段も組み上げた、「輪掛け乾燥」という方法をとっています。
 太陽と風による時間をかけた無理のない自然な乾燥方法だと、木が本来持っている調湿効果や防虫効果、また芳しい木の香りなどを損ねることなく、お客様に届けることができるのです。
 私たちは、手間を惜しまずに作り上げた素晴らしい製品を「津江杉」というブランドとして販売し、多方面のお客様から高い評価をいただいています。
 また、同時に弊社では山林所有者の方への誠実な対応が求められています。特に個人の山林所有者の方に、間伐の重要性や路網整備の必要性を理解していただくのは困難な案件でした。
 多くの問題を抱える山林経営に対し、どうすれば山を守り、木を育て、山林所有者の方に利益を出せるかを提案し実現していくことが重要です。
 お互いの深い信頼関係を構築する確かな方法だと考えています。」

高性能林業機械は過酷な作業の負荷を減らす必須アイテムとして活用

 高性能林業機械に関してもお話いただきました。「現在の保有台数は、ハーベスタ6台、スイングヤーダ1台、グラップル1台、フォワーダ4台、バックホー3台です。
 平成5年KETO500(0.7)ハーベスタが、最初の導入です。平成3年に台風による甚大な被害を受けました。その片付けは、人力でどうにか出来る範囲ではなく、また3K仕事と呼ばれる過酷な作業の負担を軽減して若者の定着を計るためにも必要なアイテムでした。
 維持管理の兼ね合いで平成7年頃より自社で修理を始め、平成10年頃より機械販売も始めました。とにかく自分たちで使って良いものだけをお客様にお勧めすることにしています。
 今回導入した住友建機のSH135X-6とNANSEI-NPH-48の組合せも試験的に操作をしてみてベストマッチだと考えたからです。」
 最後に将来の展望をお聞きした。
「森林整備を計画通りに進めていくには、人材の絶対数が不足している。人材が増え、技術の継承ができれば、新たな機械の導入により現在の森林管理委託面積をさらに増やしていけると思っています。」
●レポート 大分支店 野中 修