住友建機株式会社SUMITOMO

オホーツクバイオエナジー(北海道)

オホーツクの
豊かな森林の力を活かす

国内最大級のバイオマス発電所の燃料を供給

 オホーツクバイオエナジー株式会社は、北緯44度オホーツクからの流氷が港に接岸することで知られる紋別市に、住友林業51%住友共同電力49%の共同出資で平成25年に設立された会社である。同時期同比率出資で紋別バイオマス発電株式会社も設立され発電部門を担当し、オホーツクバイオエナジー株式会社は、隣接する発電所に木質燃料を100%供給する燃料チップ製造を目的として設立された。住友林業の社有林がある紋別市をはじめとする道東の地域から集荷された間伐材や未利用材などの木質燃料を主燃料とし、輸入PKS材や補助燃料として石炭を使用したバイオマス発電所の発電規模は50,000KW。国産材を燃料利用するバイオマス発電所としては、国内最大級の規模である。計画使用量として木質チップは年間約21万8千トン、PKS材、石炭はそれぞれ約5万トンが見込まれている。発電所の建設には2年の月日を要し平成28年11月に竣工。同年12月から営業運転を開始している。発電した電気は、当面20年間は再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT)を活用して、北海道電力他に売電する。厳寒期には最低気温がマイナス15℃を下回るという厳しい環境下でのご苦労などを含めて、山東正典代表取締役に話をお聞きした。

住友の機械は厳しい寒冷地の環境でもトラブルなく働いてくれた

 「私にとって紋別はまったく見ず知らずの町で、平成26年の2月に赴任してきた時、見渡すかぎりの銀世界で、人の歩く姿もなく、この先どうなるのかと不安もありました。ただ、この地に住み始め地元の方々と会う機会に、以前紋別市鴻之舞に住友金属鉱山の金の鉱山があり町は非常に栄えていたそうで、今回も住友が何か新しい産業を興して地元の発展に寄与してくれるらしいという話をお聞きして、われわれの事業が、紋別の地域再生につながると期待していただいていると感じました。
 今回紋別という寒冷地において、事業を開始し、安定して電力を供給するためにいろいろな工夫がされました。隣接のバイオマス発電所では、通常露出して設置されている多くの設備、ボイラーなどの施設が壁で囲まれています。チップ工場においても、多少は寒冷地対策を行ったつもりでしたが、実際昨年12月の営業運転開始以降、想定を超える問題、特に搬送ラインでのトラブルが起こりました。例えば、木粉が凍結して機械が動かなくなったり、チップが凍って粘りつきコンベヤ上で固まったりとか色々ありました。頭では理解し予想していても自然の力は想像を超えて厳しいものでした。また発電所の開業に先行して、南に9キロ離れた場所に貯木場を開設しました。そこに昨年8月の試運転時には約20万㎥、通常運転開始後も平均約15万㎥の原木を貯木しています。紋別では山からの出材は季節や天候に左右され、春先や秋の長雨時期には出材量が落ち込みます。そのため、計画的なチップ製造ができなくなるおそれがあり、また乾燥させて含水率を下げるために中間ストックヤードが必要と考えられました。今回住友建機さんからグラップルを4台導入しましたが、この厳しい環境下でトラブルなく、働いてくれたので本当にありがたく思っています。まだ開業して1年経過しませんが、冬場に色々なことが起き、それを何とか乗り切ったので今後は計画通りに、事故などなく安全第一で事業を運営していきたいと考えています。」

●レポート 旭川支店 近藤 浩幸