住友建機株式会社SUMITOMO

丹波市森林組合(兵庫県)

豊かな森づくり、
道づくり、人づくり

バイオマスで資源の有効活用

 丹波市森林組合は、平成16年12月、近隣5町の森林組合が合併して設立された。組合員数4300名、職員44名で構成されている。
 良質のスギ材を産出することから関西電力の電柱の多くをこの地域から供給してきたことで有名である。昨今の林業を取り巻く厳しい環境の中、資源を有効活用するバイオマスについて中尾代表理事組合長に取り組みを語っていただいた。
 「バイオマス事業に関しては、丹波市森林組合、丹波市ひかみ森林組合と丹波林産振興センターの三者が共同出資して、『バイオマス丹波』を設立しました。そして、従来山に廃棄していた未利用材が丹波市営の温水プールや温泉での熱源として利用できるようになりました。
 また地元のパルプ会社にバイオマス発電の燃料として、原木をつぶしたままのチップをすべて収めています。資源の有効活用ができることはありがたいことです」

森づくりは水づくり

 組合設立時より最新の高性能林業機械を導入し、作業の安全性を重視する姿勢は徹底している。
 導入いただいたSH75X-3B KESLA20SHも現場の荻野係長から「枝打ちの能力の高さに驚いています。また、住友の行き届いたサービス体制に満足しています。」とお褒めの言葉をいただいている。能力の高い機械を使う無理の無い作業が、現場での安全に繋がっている。
 森林整備業務として、作業道の開設や間伐、またその間伐材の搬出など完全な森林整備を目指して活動されているが、特筆すべきは、完全な森林整備のために、完全な森林の地籍調査が必要であるという理念のもと、組合が直営で完成させたことだ。
 この取り組みは全国でも三例ほどしかないという。「土地所有者の方の多くは、自分の山がどこに、どれくらいの広さかをあまり理解しておられません。
 ただ、航空写真やGPSを使って電子データ化することは、みなさんに喜んでいただけています。そして地籍の確定後、50ha~100ha単位で森林整備計画を作成して、こちらから山を整備させてくださいと頼みに行くんです。山や森を整備しないで荒れたままにすると大変です。これは金儲けじゃない。
 山を整備することは災害の防止になるし、整備された森には水を涵養する力があります。ここは加古川の最上流、源流です。豊かな森は、同時に水づくりです。
 川上に暮らす人間には川下の人に豊かで美しい水を送る使命があると思っています。中尾組合長の言葉には、強い郷土愛と森を守る使命感を持つ男の矜持が感じられた。

●レポート 北近畿支店 岡西哲也