
有限会社真貝林工は、北海道北東部 オホーツク総合振興局管内(旧網走支庁)滝上町で 1951年(昭和26年)に造林を主業務として創業された。同社が所在する滝上町は、東に隣接する紋別市との境界以外三方を山に囲まれた地形で、基幹産業は林業と農業(主に酪農)である。
人口は, ピーク時には14,000人を数えたが、現在では2,500人に満たない過疎の町となっている。ただ、過疎の町で林業を営む会社にありがちな作業員の高齢化の特徴は同社にはない。そのあたりも含めて同社の代表取締役 眞貝 眞佐喜様にお話を伺った。
「私が、初代である父が営む会社に入社したのは1977年(昭和52年)でした。業務内容として当時は造林が中心で、利益率も高く稼げる仕事でしたが、日雇いの個人請け負いという不安定な雇用形態でしたので、新たに特に若い人材を確保したくても、なかなかうまくいきませんでした。何とか会社を変えたかったので、1979年(昭和54年)に法人化し、一般企業と同じ雇用条件を用意し、造林から通年作業可能な素材生産へと業態を移行していきました。
若い人材を獲得のため、東京へ大学生をリクルートするために幾度も行きましたし、雇用した人材が働きやすいように、林業機械の導入も早くから積極的に取り組みました。それは、スウェーデンやオーストリアへ先進の林業を視察に行った時に、近い将来に日本の林業も高性能林業機械で変わっていくと感じたからです。オペレーターがタッチパネルで作業をキーボード入力する姿は衝撃でした。機械が正確に測尺して掴んで切る、当時日本で使っていた林業機械とは次元が違いました。将来的にこの機械を導入して、その操作を習熟するためには50歳の経験豊富なベテランの林業従事者より、20歳の柔軟な頭を持った素人が学ぶほうが近道で有意義だと思いました。
現在弊社には造林2名、造材8名の作業員が所属しています。従業員は若いですが、ほとんどが町外から来た「Iターン組」です。地元の若い人達にも勤めて欲しいので地域のイベントで林業をアピールしたり、弊社独自のインターンシップ制度を用意して、学校に林業を教えに行ったり、学生さんに現場を見てもらったりしています。
若い人達に勤めてもらえるような魅力ある企業になっていきたいですね。企業理念ではありませんが、社員に常日頃から言っていることがあります。自然界の中で自然を壊さないように、いかに林業をやっていくかが課題だと思っています。林業機械を使って作業することは自然を壊していく側面も持ち合わせているので、作業道を一つ作る時も、目先の仕事のために中途半端なものをつけるのではなく、山を見て、将来にわたって有意義に使える道を造りなさいと」