住友建機株式会社SUMITOMO
進化を続けるアスファルトフィニッシャ「J・Paver」画期的な機構を盛り込んだ技術者の思いを探る

世界に
類のない性能で
海外市場にも拡張

日本市場ではシェア70%超と、圧倒的強さを誇る、住友建機の道路舗装機アスファルトフィニッシャ「J・Paver」。今、海外市場での存在感を急速に高めている。

実はこれまで、市場ニーズの違いなどから海外では中古機の流通が中心だった。
しかし、経済成長が著しい新興国を中心に「J・Paver」の性能に注目が集まり、引き合いが増えている。こうした市場の変化を好機ととらえ、積極的な拡販に乗り出した。

海外市場の動きについて、技術本部 道路機械技術部長・美濃寿保は次のように説明する。
「海外市場のなかでも、特に経済発展が続く東南アジアで『J・Paver』の性能が高く評価されています。とりわけタイでは、以前から『J・Paver』の中古機がかなり使われていたこともあり、新車を購入したいというお客さまが増えています」
その言葉どおり、2016 年からタイでの新車販売実績は大幅に伸び、独フェーゲル社と熾烈なトップ争いをしている。

「J・Paver」の最大の強みは、舗装する道路幅に合せてスクリードが連続で伸縮する点にある(2.3 メートル~ 6 メートルまで)。
世界トップの独フェーゲル社をはじめ他社の道路舗装機は、道路幅に合わせてエクステンションスクリードを追加して幅を広げなければならない。エクステンションスクリードは重量があり、固定、調整するのにも時間がかかり、作業面での安全性にも不安がある。

それに対して「J・Paver」は、本体にエクステンションスクリードが内蔵されているため、施工中の舗装幅変更が連続でスムーズに行える。作業効率、安全性などの面で優れている。
「世界に類のない住友独自の画期的な機構です」と、美濃は胸を張る。

蓄積してきた
技術力に
磨きをかける

住友建機の道路舗装機の歴史は古い。生産をはじめたのは1958 年。この間、同社の道路舗装機は進化を遂げてきた。
例えば、ボルトで固定していたスクリードの拡張部分を、新機構“ニュースイング” の採用により回転で広がるようにした。これにより作業の中断時間が大幅に短縮し、住友建機のシェアが拡大する大きなきっかけになった。

そして2000年、より作業効率を高めるために「J・Paver」が生れた。「いずれもお客さまの要望に応えることで生まれた製品です」と美濃は言う。
「J・Paver」は今も進化を続ける。例えば、スクリードの剛性だ。新構造の採用で、従来機に比べ、たわみやねじれを20% 以上低減した。
美濃は「操作性を追求すると同時に、軽量化を図り、燃費性能も大幅に向上した」と自信を示す。

日本の道路づくりでは、表面のなめらかさやきれいさが重視されるのに対し、海外では一般的に平たん性と密度が重視される傾向がある。

「しかし最近は、当社の機械が使われるようになり、海外でも平たん性に加え、舗装のきれいさという評価軸ができつつあります。
当社の機械は燃費がよいのでランニングコストも安い。価格だけではなく、こうしたさまざまな利点から、当社の機械を支持してくださるお客さまが増えています。
『住友を使ったら他は使えなくなる』という声もいただいています」(美濃さん)

こうした追い風を受け、住友建機は東南アジアに加え、オセアニア、欧州など海外市場の開拓を加速している。