住友建機株式会社SUMITOMO

田中林業(東京都)

人と森と
地域をつなぐ

江戸時代から続く旧家として都内の所有林を管理

 田中林業株式会社の創業家である田中家は、江戸時代の初期から現在の地にて炭焼きを生業とし、現社長で15代目を数える旧家である。時代にあわせて事業拡大し、明治時代初期から本格的に針葉樹の植林を始め、現在の所有林は、針葉樹、広葉樹をあわせて430ha。今回訪問した田中林業株式会社は、田中家の私有林の管理を目的として平成24年に法人設立された会社である。
 社員は、社長と先代社長、現場作業部門4名、管理部門1名の計7名で構成されている。生産量は針葉樹1,000㎥、広葉樹500㎥の計1,500㎥程度を産出している。
 主な社業として3部門あり、造林から育林、素材生産までを行うオーソドックスな森林管理業、広葉樹を飲食店などで使用する業務用の炭や薪に加工して出荷する事業。そして、管理林から産出された材をふんだんに使用したコテージとその周りの管理林を企業や学生の研修の場として提供する事業がある。
 田中社長に東京都内で長い歴史を持ち、林業に従事されて来た田中家と田中林業について、色々お話いただいた。

住友のケスラーは管理する森の条件に最適な機種

 「それまで生業だった炭焼きの仕事は、昭和20年代まで行われていました。当主自らも行っていましたが、他の人に山を貸して炭を焼いていただくことも多かったようです。当時は山の中に窯をつくり、周囲の木を倒して炭を焼き、出来た炭を人力で里まで下ろす。そしてまた次の場所に移り、窯をつくる···といったサイクルで行っていたそうです。
 針葉樹については、当初は製材業者に立木売りをしていました。弊社が自社で素材生産を行うようになったのは昭和40年代からです。作業道は平成に入ってから本格的につけ始め、現在総延長は30,000mを越えています。16年前に私が入社した頃は、クレーン付きのトラック1台で搬出を行っていました。徐々に機械化を進め、昨年SH75X-6A ケスラー20SHを導入させていただきました。
 研修等で色々な機種を見ましたし、そこで知り合った方々のアドバイスを参考にし、作業道の幅員や橋の耐荷重などの制限もある中、弊社の森には住友のケスラーが最適だと結論づけました。1年間使ってみて、大きな問題も起こらず小さな問題は想定内ですから、非常に満足しています。また、住友多摩営業所の対応の早さにはいつも関心しています。営業の方も整備の方も皆さんよく勉強しておられて林業機械に対する知識も深く、安心して任せられます。」
 最後に会社のモットーについてお聞きしました。「上善水の如し。こだわりは大事ですが、頑なになってはいけない。弊社にとっては木を売ることが目的ではなく、どうやって後世に森を森として伝えていくかが使命ですから。」

●レポート 多摩営業所 野口 昌克