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「ASTRA」開発者インタビュー

ASTRA 開発に迫る
進化する「自動化」が舗装現場の未来を拓く

舗装工事の自動化を、もっと手軽に、もっと簡単に。 舗装工事の自動化を、 もっと手軽に、もっと簡単に。

労働人口の減少や働き方の変化により、避けることのできない舗装工事の生産性向上。
住友建機はその課題と正面から向き合い、様々な現場で“今すぐ取り組める”
自動化システム「ASTRA1.0」を開発しました。

ASTRAアストラとは?

ASTRA 1.0

ASTRAは、生産性・安全性・舗装品質の向上を目指す、住友建機の「舗装現場の自動化技術」のペットネームです。

その第1弾として開発されたのが、アスファルトフィニッシャのステアリングとスクリード幅を自動制御し、オペレータの省力化を実現する「ASTRA 1.0」です。

ASTRA 1.0

ASTRA1.0がもたらす、
4つのメリット

01

わずらわしい
手順なし

事前の設計データ作成、複雑な機器の取り付け、キャリブレーション不要。導入したその日から誰でも簡単に操作できる“扱いやすさ”が魅力。

02

舗装工事現場の
7割に対応

舗装端に段差さえあれば使用可能。中長距離の道路工事でも測定機器の再設置や再キャリブレーションの必要なし。

03

経験の浅い
作業者も即戦力に

ステアリング操作とスクリード幅の調整が自動化できるので、経験の浅い作業者に経験を積ませ、現場での活きた知識と技術の習得を後押し。

04

経済性高く、
自動化を実現

既存の自動化装置では必要だった、高価な3D測器や設計データ作成システムは必要なし。ステレオカメラと操作盤だけで自動化を実現。

※現状、「ASTRA1.0」は新車購入時のオプションのみの対応となります。

「ASTRA 1.0」の開発に携わった技術者に、誕生の背景やその魅力について聞きました。

高山英紀

道路機械事業本部 企画部

事業企画グループ

グループリーダー

高山 英紀

寺元陶太

道路機械事業本部 技術部

第2設計グループ

主任技師

寺元 陶太

高額な3D機器や
設計データの構築が不要

生産性や安全性の向上、人手不足、熟練技術者の高齢化など、建設業界には共通の課題が多い。その解決手段の1つとして各社が開発、導入に力を入れているのが、ICTを用いた情報化施工技術だ。国土交通省でも、建設現場のオートメーション化の実現に向け、省人化・生産性向上などの定量的な目標を示した「i-Construction 2.0」が明示された。アスファルトフィニッシャにおいても、2D-MC、3D-MCといった自動化装置が開発、販売されている。

しかし、既存の自動化装置には、高価、かつ扱いが難しいという課題がある。

高山:レーザー光で対象物までの距離と角度を測定するためのトータルステーションや、3D設計データを作成するためのシステムなど、さまざまな装置やシステムを導入しなければなりません。しかも、3Dデータの作成や各種機器の操作には専門知識が必要で、使いこなすには知識の習得や操作への習熟が欠かせません。

この2つの課題を解消する自動化装置として開発されたのが「ASTRA1.0」。導入時に必要なのは、ステレオカメラと操作盤だけで、高価な3D測器や設計データは必要ない。既存の自動化装置では必須だった、現場でのキャリブレーションが不要で、基本操作もスイッチのオン・オフのみ。これだけで、アスファルトフィニッシャのステアリング操作とスクリードの伸縮を自動化できる。

寺元:ASTRA1.0は、機体の左右に取り付けたステレオカメラによって型枠や縁石、切削面など舗装端の段差を検知して機械との距離を判別。現場に合わせて、ステアリングとスクリード幅を自動制御します。そのため、使用するには“舗装端に段差のある現場”という条件がつきますが、裏を返せば、そこさえ満たせば、ほぼすべての現場で使用することができるのです。

このように指摘するのは、既存の自動化装置に制約が多いから。1つは、設計データと現場の状況が完全にリンクしていないと、現場での手直しが発生してしまう点が挙げられる。

寺元:マンホールの位置がずれていたり、ちょっとした構造物があったり、設計データと現況が一致していないことは珍しくありません。加えて、道路は路床、路盤、基層、表層と下から積み上げていくため、下層の少しのズレが積み重なり、表層工事のときには、ズレが大きくなっているということもあります。

また、既存の自動化装置の場合、トータルステーションなどで測定できる範囲が限られている。道路のように長い場所を舗装するには、測定範囲を出るたびに、機器を設置し直してキャリブレーションを再度行わなければならないのだ。そのため、活用されている現場は、スタジアムなどのクローズドコースがメインとなっているのが現状だ。

高山:その点、ASTRA1.0は、現況データをもとに制御しているので設計データとズレていても支障はありませんし、舗装端に段差がある現場は全体の7割ほどあるので、活用可能な現場も多いといえます。

寺元:トータルステーションの設置など大掛かりな作業をする必要がなく、ASTRA1.0を設置したアスファルトフィニッシャを現場へ持っていくだけなので、舗装距離が短いなど中小規模の現場でも気軽に使っていただけるはずです。

導入時に必要なのは、この2点だけ! 導入時に必要なのは、
この2点だけ!

ステレオカメラ

ステレオカメラ

段差(型枠・縁石・切削面など)を検知

操作盤

操作盤

舗装状況をリアルタイムに監視・操作

ステアリング・スクリード
自動制御の仕組み

機体の左右に取り付けた、ステレオカメラによって型枠や縁石などを検知。
判別した機械との距離から、自動でステアリング・スクリード幅を制御。

ステアリング・スクリード自動制御の仕組み

経験の浅い作業者の
人材育成にも一役

ASTRA1.0の開発は、ある建設会社の依頼がきっかけだった。それは、建設機械に取り付け、安全確保のための周辺監視に利用していたカメラシステムを応用して、アスファルトフィニッシャのステアリング自動化システムを開発できないかというものだった。

高山:住友建機としてもアスファルトフィニッシャの自動化、自律化に向けた構想を検討しはじめていたタイミングだったこともあり、共同で研究開発を行うことに。その過程で、スクリード幅の伸縮も自動化できそうだとわかり、製品化を目指すことになったのでした。

建設会社がシステムを持ち込んできた当初、できることは段差を検知することだけ。この機能を活用して、ステアリングを制御する機構は一から考えなければならず、アイデアが出るまでに半年、最初の試作機ができるまでには9カ月ほどを要したという。

寺元:安全面の確保にも頭を悩ませました。舗装工事の現場では、レーキマンやスコップマンなどフィニッシャの近くで作業する人がいます。そのため、機械の半径何m以内に人がいたとき、機械が自動停止するという仕組みを採用してしまうと仕事になりません。そこで、動き出すときに警報が鳴るようにし、緊急時には近くにいる人が機械を止められるよう非常停止ボタンを増設しています。

ASTRA1.0の優位性の1つである“扱いやすさ”を損なわないようにするため、機器を簡単に取り付けられるようにしたともいう。

寺元:スパナなどの工具を使わずに、取り付けられるような設計になっています。固定部も指で締められる機構になっていて、工事中の振動でも緩まない構造にしてあります。舗装に直接かかわる作業以外の工程を、いかに簡素化できるかを追求したつくりになっているはずです。

現在、量産1号機をお客さまのもとにお届けするべく、準備を整えているところだという。

高山:ASTRA1.0は省力化による生産効率の向上を実現できる装置として開発したものですが、デモ機を使ったお客さまからは、『熟練オペレーターなら一人でも扱える』という声もいただいております。

アスファルトフィニッシャは操作が難しく、経験の浅いオペレーターが気軽に扱える機械ではない。しかし、ASTRA1.0搭載機であれば、ステアリングとスクリード幅の調整が自動化されているため、経験の浅い人間でも扱いやすく、経験を積ませるのに適している。

高山:舗装厚の管理など、品質に大きく影響する作業に集中できるので、品質向上の効果も期待できます。

ASTRA1.0は、現状、新車購入時のオプションとして取り付けることができる。さらに、アスファルト合材をフィニッシャに供給するダンプ誘導やホッパーの開閉を自動化した「ASTRA2.0」も開発中だ。舗装工事の未来を拓く、今後の「ASTRA」シリーズの進化に注目してもらいたい。