住友建機株式会社SUMITOMO

女性が生き生きと働ける建設現場。
必要なのは、適度な心配り

Q

最近、女性の現場への進出が話題になっています。当社も女性の活用を検討しているのですが、地方の土木会社なので都市部と違って人里離れた場所での仕事が多く、環境に恵まれていません。男性と同じ、というわけにはいかないように思います。どうすれば女性に現場を担ってもらえるでしょうか。

A

イラスト 佐藤竹右衛門

まず認識しておいていただきたいのは、「昔と今の女性は違う」ということです。今の20代の女性は、小学校の頃から男の子と一緒に野球やサッカーをやっています。そのためか、男性と一緒に働くことに抵抗が少ないようですね。

建設現場で働いている女性たちにインタビューしたことがあります。皆さん、生き生きと仕事をされていて、性別によって過度な差を設けることは不要だと言っていました。「もっと命令してくれて構わないし、女性だからと気を遣ってもらうと、かえって後ろめたさを感じる」という方もいました。

都市部とは違う環境についても懸念することはないように思います。山をこよなく愛する「山ガール」や、ダムを見に行くのが大好きな「ダムガール」が増えていることで分かるように、自然の中で働きたいと考えている女性はたくさんいます。こういう女性にとって、土木の現場は魅力があるのです。今後、人手不足が深刻になることは建設業界も例外ではありませんから、女性の働く場所をオフィスに限定せず、どんどん現場で活用していくことが企業存続への道とも言えるでしょう。

ただ、女性に現場で思う存分働いてもらうためには配慮が必要です。やはり腕力や体力では男性より劣っているわけですから、通常なら一度に運ぶものを半分ずつ持っていってもらう。そうした気遣いが望まれます。

また、育児中の女性については、保育園へお子さんを引き取りに行きやすいよう早めに帰ってもらうとか、園や学校行事の日に休んでもらうといった心配りをしてあげてほしいものです。長年、現場で仕事をしている女性に聞いてみると、周りの人たちが協力してくれたから働きつづけることができたと答えています。

職場環境の面で忘れてはならないのはトイレです。男女兼用は論外で、更衣室やパウダールームも備えた女性トイレを設置することが絶対条件です。女性の活用を後押ししている政府は、そうした設備づくりに補助金を出すなど、現場事務所が女性の働きやすい環境になるよう助成をしています。女性技術者の登用を打ち出してエントリーした場合、優先的に仕事を発注するということもモデル的にやり始めています。意欲と能力のある女性を積極的に現場へ。そういう時代になりました。

最後に付け加えたいことがあります。彼女たちに目標を与えてあげてほしいということです。総務の仕事をしていた女性が資格を取得し、重機のオペレーターとして働いている例があります。何か目標があれば、より一層頑張ろうという気持ちになれるもの。資格でなくても構いませんが、「こうすればこうなれる」という希望を持たせることで、長く現場で活躍してもらうことができるでしょう。

解説

中村秀樹(なかむら・ひでき)

ワンダーベル合同会社 建設コンサルティング&教育
名古屋工業大学土木工学科卒業。大手ゼネコンにて高速道路、新幹線の橋梁工事などに従事。
建設マネジメントの実践、建設技術者教育で活躍。