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住友建機の役に立つ情報誌「POWER」

【Vol.131】事業承継を成功に導くための方程式

築き上げてきた会社をどう次の世代につなぐか。
事業承継は経営者にとって大きな課題だ。時代の変化に対処しながら、会社の財産(人、モノ、金、知的資産)をうまく引き継ぎ、さらに会社を成長させていくことはそう簡単ではない。
未来に向けて今、知っておくべき事業承継成功の方程式とは。
2回シリーズの1回目は、3社の成功事例をもとに専門家である大谷金久氏の意見をいただき、事業承継のポイントを解説する。

事業承継お助けマン 
大谷経営コンサルティング 代表
大谷金久

事例編

難しさを知ることが第一歩

 中小企業の経営者に対するアンケートによると、経営者が60代の企業のうち約3割は後継者が決まっていないという答えでした。後継者候補がいる企業でも、約2割がその意思を伝えていません。この結果から分かることは、事業承継はまだ先のことだから急ぐことはないと考えている経営者が少なくないということです。
 事業承継を他人事のように思っていて、身近に感じていない。実はこの意識は、事業承継を失敗させかねない危険性をはらんでいます。自分はまだまだ元気だ。後継者を決めるのは、気力と体力の衰えを感じるようになってからでいい。そう考えるのは、事業承継を難しいことと認識していないからでもあるでしょう。事業承継を節税対策と思っている経営者も多いようです。
 しかし、事業承継は単に社長の座を譲ればいいというものではありません。人、資産、経営資源を含めた“経営力”を引き継ぐことができてこそ真の事業承継であり、それがうまくいかなければ会社は衰退していくばかりです。経営力の継承は簡単ではないと認識することが、事業承継成功への第一歩です。
 先代から事業を引き継いだ経営者へのアンケートによると、最も苦労した点として40%近くの人が「経営力の発揮」を挙げています。また、後継者育成には十分な時間が必要と考えている人が多数を占めています(5年ぐらいが約25%、5~10年が約29%、帝王学として早い時期からが約9%)。経営力を引き継げる後継者は、1年や2年では育てられません。

最も重要なのは現状把握

 事業承継対策の遅れが会社の存続に重大な影響を及ぼすことは、近年、後継者不在を第一の理由として廃業する中小企業が増えていることでも明らかです。リタイアを考えるようになったとき、後を託せる人材がいないことに気付いているのではないでしょうか。私は事業承継について、少なくとも5年ぐらい前から準備すべきだと考えています。
 最初にやるべきことは会社の現状を把握することです。社員の質、能力。知的資産(特許・ノウハウ、地域における会社の地位、社長や得意先担当者の人脈など)。機械、設備、事務所、工場。施工体制。財務と資産の内容。業況の良し悪し。今後の見通し。
 こうしたことを改めて点検し、自社の強みと弱みを把握すれば、どういう手を打っておかなければいけないのかが見えてきます。しっかりとした現状把握ができてこそ、その後の後継者選び、承継方法の決定、事業承継計画書の策定が的確に行われ、経営力を引き継ぐことができます(詳しくは次号で解説)。
 創業社長の場合、経営力の継承はとりわけ難しいと思います。創業社長の多くはカリスマ的存在で、持ち前のパワーと魅力で社員を引っ張り、事業を大きくしてきました。建設業で最も重要な入札金額も社長が独断で決め、「これでやれ」と号令を掛けるワンマン経営であっても、みんなついていきます。
 これは誰にでもできることではなく、同じやり方で社員を引っ張っていける人は稀でしょう。俺についてこい式の経営は無理です。
 ワンマン経営であるのなら、幹部やベテラン社員と相談して方向性を決めていく組織にしておくことです。
 自分の子どもが後継者になった場合、それを不満に思う抵抗勢力が生まれがちという話を聞きますが、新社長の方針に反発したとしても、会社を良くしたいという思いに変わりはありません。ですから、抵抗勢力と戦うのではなく、この会社はどういう会社なのか、経営理念を確認する中で、みんなが幸せになれる方法を探るほうがいいと思います。絶対に勝ち負けを決する戦いにはしないことです。
 また、後継者には社長に就任する前に、業界や会社の仕事について学べるだけの経験を積ませることが大事です。今回、事例として紹介する3社はすべてそうしています。
 もう一つ大事なこととして現経営者に望みたいのは、後継者に任せる覚悟を持っていただきたいということです。これが案外できていません。社長を退いて時間と心に余裕ができると、経営に忙殺されていたときには気付かなかったものが見えてきて、つい新社長のやり方に口を挟んでしまう。これでは船長が2人になり、船の運航が妨げられます。
 本当の意味で社長を卒業し、趣味に打ち込むとか、仕事が好きでしょうがないのであれば違う仕事を始めるとか、自分に合った道を見つけて次の人生ステージを楽しんでほしいものだと思います。

事業承継とは?

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