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かつては異端と言われた落語家も今や


小柄な細身の体を、黒のラフな半袖シャツと、裾のほどけたジーンズのパンツに包んで、立川談志師匠は何気なく現われた。座るなり、大好きな映画の話題をふりながらソファでしきりに身体を揺り動かし、とても嬉しそうである。まるで少年のような身軽さと気の軽さに接するとだれでも、60代それも末という年齢を知って驚嘆するにちがいない。
相手が口を開けば、身を乗り出し、レンズの大きくて厚い、黒縁眼鏡のなかから、めんたまをいっぱいに開いて見据えつつ、神経を集中する。

かつては異端と言われ過激と敬遠された落語家。今や、独演会でも一門会でも、あるいは、弟子の真打ち披露の会でも、談志が出演する席となれば、たちまちチケットが売り切れる。 「だから威張りくさっているんだよ」と言い放ってはばからない。

エネルギーに溢れた、この落語家の活力の源はどこにあるのか。
「好奇心だな。いつもなにかを探している。満足することがなく、安定もしない」と、自分を分析する。

もっとも、これだけなら驚くこともない。なるほど、人間、好奇心がないとだめなんだな、 と納得しておしまいになるところである。談志師匠の場合はちがう。ここからが本番で、独自の人間論が展開される。
立川談志

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